当然のように砂利道です。
市街地では舗装の所もありましたが、通過した8割強は土埃の道です。

砂利道にも規格があり、「交通量の多い道路には多くの砂利を入れる」事になっていたらしく、砕石が敷きつめられた道を走行するときに自転車の細いタイヤでは、轍にハンドルがとられたり、ブレーキが利きづらかったり、走行が重くなるなど苦難の多い道でした。
また、昭和30年代後半以降に改良された幹線国道は、砂利道ながら車が楽に通行できる2車線の道幅が確保され、カーブも緩やかで見通しが良くなりましたが、相変わらず砂利が多く敷かれている事に変わり有りません。

それに対して、改良前の道路は、道路幅も狭く、曲がりくねっていますが、砂利と土が適度に混在してよく踏みしめられております。また、路面には穴ぼこや水たまりがありますが、自転車の細いタイヤでも快適に走る事が出来ます。

また、そのような細く曲がりくねった国道や、道道、市町村道の砂利道では、今の林道や農道のように、その土地の地形(高低差)そのままに道を造ってあるので、渓谷の底まで降りてから再び上がる道や、樹木の覆い被さった曲がりくねった山道を頂まで登りきる道もありました。また、自転車の大敵である「トンネル」は少なく、有っても50〜150メートル程と短いので、「熊」以外に、気をつけなければならない危険はありません。

地図には平野地帯と記載されていても、実際の地形には小さな起伏が次々と現れるので、そのたびに自転車を降りて、小さいながら急な坂道を押して登らなければならない所もありました。

それに比べ、現在の舗装道路は、高い土地は削り、低い土地に盛り土をし、さらに高ければトンネルを掘り、より低いところには橋を架けて高低差を少なくしていますので、自転車にとってはとても走りやすくなっております。

でも、舗装された道路では、斜面に対して一定の仰角で道路を造ってあるので、自転車で登る時には同じ負荷がかかったまま進む事になりますからとっても辛い事があります。
昭和30年代後半の自転車は、部材にアルミもプラスチックも使われていません。
もちろん、ワイヤーなどの高級部品は高価格帯の自転車にしか使用される事がありません。ですから、オール鉄製、変速ギア無し、そのうえ年代不明の古さを持つ私の自転車は、自転車の重量も、車輪の回転もとても重たかったです。
それでも、鉄で出来た車体や部品は、どこの村や集落にも有った鍛冶屋さんで簡単に溶接し修理することが出来ました。

その当時、自転車店にある部品が売られていました。
「自転車用ベアリング球」(1袋8個か12個?)です。それは雪解けの頃、寒い小屋の中で手を油だらけにしながら、自転車のチエーンカバーやチエーン、ブレーキから回転軸まで全部バラして、車軸の回転部分や摩擦部分、ベアリングの内部まで、すべてにグリースとオイルを詰める作業をし、部品として売られていたベアリング球と交換ていました。それでも自転車を秋まで使うと、交換したベアリング球は、割れるか、すり減って小さくなってしまいます。

また最近の自転車に付いているような「V」ブレーキではなく、バンドでドラムを絞めるタイプなので、峠道の長く急な下り坂や、雨の下り坂では、ブレーキの利きが甘くなりとても怖い思いをしたこともあります。

また、今なら笑える用品もありました。
それは「自転車用巻紙」(商品名は?です)。なんだか解りますか?自転車のフレームに傷や汚れが付かないように、模様を印刷した油紙(死語?)を鉄の車体に巻き付けて保護するのですが、雨に降られたり、ちょっと擦るとすぐに破けてしまう代物でも、その時は大変満足して使っていました。
昔の自転車は・・・
北海道・昔の道路は・・・
BSジュピター
驚きました!
すっかり見かける事が無くなったと思っていたら、今でも販売しているんですね。ブリジストンのホームページに、写真付きで載っていました。昭和30年代の形がそのまま引き継がれているように見えます。写真で見る限り、リヤブレーキはロットを繋ぐこだわり等、とっても懐かしく、実車を見てみたいと思います。

BS ジュピター 48,800円
交通量は、札幌から旭川・函館・室蘭などの幹線道路を除き、自転車ツーリングの時、出会える車など数えるほどしか通りませんから、のんびりと道路の真ん中を走行できました。また、自動車の速度も遅かったので、後ろから近づいてくる車を振り返りながら、近づいて来たら少しだけ左に寄る走り方をしても間に合います。

一般家庭の乗り物は、自転車からオートバイに変わり、少数の富んだ人たちが360ccの軽自動車や、1000ccクラスの普通車に乗れる時代ですから、今の車社会のように危険は無く、朝から夕方まで自転車で走っていても、出会える車は4〜5台という道もありました。そんな淋しい森の中や草原の道で、すれ違う車や追い抜いて行く車に出会うと、「ほっ」と安心する気持ちになります。

道路状況による通行規制も今ほど厳しくありませんから、台風の時の海岸道路などは、うち寄せた波が道路を洗っていても「通行可」ですし、山道に大きな石が落ちていても「通行可」でした。路面状況は自分で判断しなさいという時代だったんでしょうね。
山越えの砂利道ですが
土がよく踏み締まって走りやすい道路です



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